中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3893回
人事の抜本的な改革が必要です

海外で投資をして、会社や工場をつくった場合、
とても重要な仕事の一つは何と言っても人事です。
日本人の会社ですから、日本人をトップに据えるのは当り前ですが、
先ず言葉がわからないし、
土地の事情に通じないということになると、
はたして大丈夫かと心配になります。

それでも一番大切なことは仕事を任せる以上、
信頼できる人かどうかですから、
自分らの会社に長く勤めた実績があって
経営能力もある人が任命されることになります。
言葉がわからないなら、通訳をつければいいし、
現場に居れば必要に迫られて言葉も覚えるから、
そのうちに何とかやって行けるようになるだろうと思われています。

トップは別格としても問題は幹部に現地人を採用するかどうか、
採用する場合、どこまで出世させるのか、
これは会社によって全く違ったことが起ります。
一般に言われていることは、
アメリカの企業は現地人でも有能とわかったら、
出先企業のトップに据えるのが珍しくないが、
日本の企業は現地の重役陣さえすべて日本人で揃え、
現地人は万年平社員のままだと言われています。
ですから、日本企業では仕事を一通り覚えたら、
なるべく早く独立して、今まで勤めていた会社のライバルになるか、
それとも取引先などのパートナーになるに限ると
広く信じられています。

従って何千人も労働者が働いている工場でも、
日本企業の場合は、
トップと現場とのパイプがうまくつながっておらず、
何かの拍子にストが起ると、
日本人の重役陣は大あわてにあわてる姿が目に浮んできます。
日本人の経営者は何事もうまく行っていると思い込んでいるけれど、
現場と太いパイプでつながっておらず
数人の日本語のできる中国人の幹部か、
通訳といった細いパイプですから、
どこかで故障を起すと大へんなことになってしまうのが常態です。

こんな形の経営がいつまでも続いてよいわけがありません。
いま抜本的な改革が切実に要求されていますが、
うちは小さな商売だから大丈夫だと思ったらとんだ間違いです。


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2010年11月6日(土)

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