中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3897回
中国で事業をやる場合の落し穴

日本人が中国で商売をやる場合の落し穴はいくらでもあります。
従業員に密告されることもあるし、
下っぱ役人にいちゃもんをつけられることもあるし、
家主に難題をぶっつけられることもあります。

それも料理屋や喫茶店や美容院のような
零細企業だけではありません。
デパートやスーパーのような日本を代表する大企業でも
ちょっと油断すると、たちまちとんでもない目にあわされます。
役所のトラブルは人間関係を使って解決できますが、
家主とのトラブルは最終的に営業ができなくなったり、
引越しを余儀なくされたりします。

まだ共産主義の色彩が
濃厚に残っている国だから大へんだと思うかも知れませんが、
大抵のトラブルは利害関係から発生します。
とりわけ強欲な家主にぶっつかると、
本業のことで頭が痛い上に、家主から訴えられたり、
意地悪をされたりするので、
しまいには商売をやるのも嫌になってしまいます。

場所を借りて家賃を払っていてもそうですから、
商売をやる上でパートナーとして組む相手を間違えると、
もっと大へんな目にあわされます。
はじめて中国で仕事をスタートする時、
私は人にすすめられて、
資本金の20%を中国側に持ってもらいました。
そうしたらたった20%の株主が80%くらい発言するのです。

すっかり嫌気がさして
私は20%をその5倍の値段で買いとりました。
そこの会社は今でも私のところへ役員を派遣していますが、
一言も発言しません。
自分に権利があると思うと
発言しないと自分の存在が無視されると思っているのでしょうか。
そういう気質の社会ですから、
パートナーとして取り組む時はもとよりのこと、
取引先として選ぶ時も、相手の気質をよく飲み込んだ上での
慎重な選択が必要です。
中国で事業を展開して失敗した人の実例をよくきいて見ると、
大抵はそういうところを
チャランポランにしたことからはじまっています。


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2010年11月10日(水)

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