第3899回
とうとうパン工場の新設に踏み切る
言われるままに、
イトーヨーカ堂にも、伊勢丹にもパン屋の小さなコーナーを
出させてもらうことになりました。
伊勢丹は天津にしか支店がないのですが、
ヨーカ堂は次から次へと新しい支店ができて
最近では北京だけで7軒の支店があるようになりました。
そのどの店にも
同じスケールの店を出しているわけではありません。
店によってはパンやケーキをつくっているコーナーまで
あるところもあれば、
パンとケーキだけ並べているところもあります。
店をつくって見て改めてわかったことは、
大型店は売上げに対して何パーセントと言うシステムで
経費を支払うことになりますから、
売上げがまだ少い間でも過剰な家賃を負担しないですみます。
その上、日本の百貨店やスーパーは
お金を払ってもらえない心配がないので、
企業として金ぐりの予定を立てることが可能になります。
ついでに申せば、
中国では百貨店やスーパーのような大型店でも
支払日に約束通りの支払いをしてくれない店がままあります。
また納品業者に無断で勝手にバーゲンをやってその分、
一方的に支払いをカットすることも珍しくありません。
その点、日本の大型店は約束を守りますから、
よけいな心配は要りません。
さて、大型店から注文をもらい、
取引がふえたのはいいのですが、
毎日の生産がふえると、
マンションの地下にある20坪あまりの工場では
たちまち間に合わなくなります。
小さな店一軒だけだった頃は
衛生局の目にもふれなかったのですが、
小型トラックが出入りするようになると、
たちまちクレームがつきはじめます。
ちょうど仕事もあるようになったので、
新しく工場を拡げる必要を感じて、
北京飛行場に近い工業団地に新しい貸工場を見つけて
そこへ工場を移すことになりました。
千坪ほどの敷地に4棟ほどの建物のある工場ですが、
ここに衛生設備の整った工場をつくったのです。
まだロクに金も儲けていませんから、
増資にまた増資のくりかえしです。
でも原田さんも荒木君も大張り切りに張り切りです。
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