中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3900回
コーヒー屋がいつの間にかパンの工場に

中国に行って、日本料理屋やすし屋などの
飲食業に従事している日本人は結構たくさんいます。
人口の多い所だし、食べることに熱心な国民だし、
成功すれば、小資本でかなりの成果をあげることもできます。
その半面、監督官庁の統制もきびしいし、
同業の競争も激しいので、
思いもかけないような目にあわされる覚悟も必要です。

たとえば、日本ではセブン・イレブンをはじめ、
コンビニのチェーンにはフランチャイザーと
フランチャイジーがいて、
各店舗を経営しているフランチャイジーは
本部であるフランチャイザーから商品の供給を受け、
その指示に従って、価格から販売の方法まで
本部の言うことを守ります。
ところが、中国のフランチャイジーは店は自分のものだし、
自分がどういう売り方をしようと、
またどういう商品を並べようと
本部の指示に従う必要はないと考えます。

セブン・イレブンの上海は
台湾の統一企業とのパートナーシップですが、
北京は日本の本部が独自に日本流のやり方でスタートしました。
すると、言うことをきかないフランチャイジーが続出して
全く統制がとれず、経営が乱脈におち入ってしまいました。
あわてたセブン・イレブンは契約をすべて解消して
直営店に切り替えたのです。

はじめからやりなおしたので、
スタートに時間がかかってしまいましたが、
その代わり一糸乱れないシステムができあがり、
今では100店近くまで成長しています。
そのセブン・イレブンから話があって
新装なったうちの工場からパンを納入するようになりました。
うちの工場は日本人のベテランが監督していて、
あれこれ工夫した商品を納めていますが、
お客に気に入られたと見えて、
パンで最もよく売れる一位、二位、三位を
独占するようになったそうです。
そうなるとほかのスーパーやデパートも黙ってはいません。
パンに貼ってある製造元の電話番号を見て、
うちにも納めてくれないかと
次々と電話がかかって来るようになったのです。
気がついたらコーヒー屋がいつも間にか
パンの生産工場になってしまっていたのです。


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2010年11月13日(土)

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