中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3901回
パン工場が一夜明けたらサンドウィッチ工場に

コーヒー屋が気がついて見たら
パンの製造工場に変わってしまいましたが、
うちの工場が
ずっと同じパンとケーキを造り続けていたわけではありません。
ケーキ一つにしても日本と同じレベルの物をつくれば、
材料もかかるし、手間もかかりますから、
1個の売価が15元から20元もかかってしまいます。

それをイトーヨーカ堂や伊勢丹で売ったのでは
注文してくれるお客は限られてしまいます。
ケーキだって、その半分の7元とか、7.5元にしないと
黙って通りすぎてしまう人が多いのです。
ですから味の工夫も必要なら、値段の調整も必要で、
毎日が工夫また工夫というのが経営者の仕事になります。

そうやってお客の要求に合わせているうちに
気がついて見たら、パンとケーキの製造工場がいつの間にか、
今度はサンドウィッチとハンバーガーを主流とする
軽食、簡易食の工場に一変してしまったのです。
どうしてかというと、
中国の大都会のサラリーマンたちの生活に大きな変化が起って、
欧化の食生活が日常化してきたのです。
少し前までは、昼食時に家まで帰って食事をしていたのが、
近所のレストランか、
社員食堂で昼食をとるのに変わったかと思ったら、
今度はサンドウィッチか、ハンバーガーと
紙コップに注いだ飲物で昼食をすませる人が
圧倒的にふえてきたのです。

そうした風俗習慣の変化に
うまくテンポをあわせることができたおかげで、
Qコーヒーはコンビニの1社を相手に毎朝、
5千個ものサンドウィッチを納める
パンの加工屋に成長することができるようになりました。
さあ、そうなると、
またまた工場を拡げないとならないようになります。
フランス系のスーパーからも、アメリカ系のスーパーからも、
さてはスターバックスや吉野家からまで
食材の供給を依頼されるようになります。
閑古鳥は嬉しい悲鳴に変わりましたが
食べ物商売ですから少しの油断もなりません。
その上、人手不足が表面化して、
どこも賃上げのシーズンに入りましたが、
一難去ってまた一難ということになります。


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2010年11月14日(日)

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