中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3902回
さしあたり年間売上げ10億円が目標

中国で高度成長の第一期がほぼ終って、
成長の第二期に入るだろうことは、
オリンピックのはじまる少し前頃から私は気づいていました。
ですから人手不足になって賃上げ斗争がはじまることも、
従って賃上げによって商売が成り立たなくなる商売と、
賃上げを合理化によって解決できる商売に分かれることも、
過去の日本で経験した私たちにとってはわかっていることですから
改めて驚きあわてることではありません。

それがやはり上海万博のはじまる頃を境にして
中国全国ではじまったのです。
労働集約的な工業は既に数年前から
成都や重慶や昆明などの内陸に大移動をはじめていますが、
食品の加工は移転のできないものが大半なので、
人件費の上がった分だけ賃上げをするよりほかなくなります。
その場合でも人手不足に悩むことに変わりありませんから、
流通業、サービス業の経営者の頭痛のタネになることは
先ず避けられません。

その点、パン屋にはまだ全工程の自動化という手が残っています。
そのお手本は日本にありますが、
それを採用すれば、中国で30人かかっていたところが
3人ですむようになります。
その代わり設備のためにまた増資ということになり、
一ぺんも配当をもらったことがないのに、
一生がお金を注ぎ込むことで終わる覚悟も
必要だということになります。

それでもかつて日本で起ったことをふりかえって見ると、
この分野で最後に残って大企業化できたのはパン屋だけで、
ケーキ屋もコーヒー屋も、毎日毎日、大きくなることを夢見ながら、
同じことをくりかえしています。
それに比べれば、自動化されたパンの工場は
1年に日本円で10億円くらいの営業スケールになりますから、
中国の一角に中くらいの新事業を打ち立てたことになりそうです。
はたしてその通りになるかどうかは
実際にそうなって見ないとわかりませんが、
これから中国で新しい事業をはじめたい人の参考にと思って
ながながと事の経過を述べてきました。


←前回記事へ

2010年11月15日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ