中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3909回
中国の不動産とは建物のことです

不動産とは土地とその上にある建物のことですが、
中国の場合、土地はすべて政府の物で、
それを50年とか、75年で借りていますから、
政府の所有している土地の上に建った建物のことになります。
どうして土地がすべて政府の所有になったかというと、
共産主義国家になって、土地も建物も企業も
すべて私有を禁じられた時代があったからです。

ところが、そういう制度をとると一生懸命働く人がいなくなり、
農業の不作によって食糧不足を起し、
餓死者さえ出すようになったので、
私有権を認めざるを得なくなり、
少しずつ資本主義時代に戻すようになりました。
とりわけ個体戸(クーテイフー)という
個人営業を認めるようになると、
工場や設備を担保に入れないと
銀行からお金を借りることさえできません。
それでは商売がやって行けないので、
政府は今までのやり方の手直しをせざるを得なくなりました。

と言って一ぺん公有化した土地を
また私有に戻すことには抵抗があったので、色々悩んだ末に、
香港に習って政府の土地を50年
もしくは75年借りる方式を採用したのです。
イギリスが香港を手に入れた時、土地はすべてクイーンの物とし、
99年、後に75年の期限を切って民間に貸す方式を取り入れたのです。
じゃ期限が来たらどうするのかというと、
香港の場合は面積の15倍建てられるようにしたので、
一戸当りの土地の面積はごく僅かであり、
もう一ぺん地代を払うにしてもごく僅かですんで
大した負担にならなかったのです。

でも私有権が常識の私たちには馴染まないシステムですから、
はじめて上海で政府と契約を結ぶ時、
「50年が来た時はどうなるのですか」ときいたら、
政府のお役人は
「今日、ここにいる人で50年後まだ生きている人がいますか」
とききかえしました。
「その時に生きている人たちの間で
どうするか解決したらどうですか?」
と皆で顔を見合わせて
やっと契約書にサインしたのを今でも覚えています。
これが中国式の当面の不動産の売買方式ですから、
不動産の売買と言っても
政府の土地の上に建った建物のことなのです。


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2010年11月22日(月)

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