中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3910回
中国では不動産より不動産株の方がいい

中国の土地はすべて政府の物ですから、
不動産の売買と言っても、
土地の上にある建物の所有権にすぎません。
政府から土地を借りる時は
いついつまでにこんな建物を建てることを条件で
使用権を許可されるのです。

建築主はできあがった建物を時価で売買することができますから、
コストより高く売ることができれば商売になります。
買った人も買った値段より高く他人に譲渡することができれば、
立派な財産になります。
しかし、あくまでも建物だけの売買ですから、
不動産にどんな値段がつくかはどんなロケーションにあるか、
またどんな状態におかれているかによって決まります。

それでも建物はいくらでも次々と新しく建ちますから、
日本のような希少価値で買われることはありません。
一ぺん建ちあがると、
その住居から他所へ動かすことができませんから
不動産であることに間違いはありませんが、
土地さえあればいくらでもできる工業製品ですから、
中国の不動産は土地の上に建った工業製品
と考えた方がいいでしょう。

そういう不動産にはたしてどれだけの価値があるのか、
それがどんな値段を維持できるのか、
実際にそうなって見ないとわからない面もあります。
とりわけ多くの持主と共同の建物は管理に問題があって
老化の差が激しいので、
物によって値段に大きなひらきが生じます。
日本の常識で中国の不動産に投資すると、
全く思いもよらない目にあわされることがあります。

ですから、自分で住むための不動産であるとか、
中国人に負けないだけ中国の事情に通じた人は別として、
日本で不動産を買うような心境で中国の不動産に投資すると、
荷厄介になるぞと私は言っているのです。
そんな目にあわされるくらいなら、
不動産より不動産株を買う方がうんとましではないでしょうか。
「しまった」と思った時でも、
また急にお金が必要になった時でも、
不動産はなかなか換金ができませんが、
不動産株なら時価でその日のうちにも
叩き売ってしまうことができるからです。
但し、株を買うなら何も不動産株に固執することはありませんが。


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2010年11月23日(火)

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