中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3916回
なぜ中国稀土に目をつけたか

何と言っても今は工業中心の産業構造ですから
株を選ぶ場合も、工業のトップを行く企業が目につきます。
とりわけ自動車とか、
コンピューター関係が人気の中心になります。
でも農業に豊作貧乏があるように、
工業にも豊作貧乏があるようになっています。

農業の豊作貧乏は天候とか、
天変地異に影響されますが、
工業の豊作貧乏は人為的なものですから、
雨風に左右されません代わりに、
企業間で競争するとなると、
どちらかが大損をして倒産するまでやむことはありません。
ですからどちらかと言えば、
工業的豊作貧乏の方がずっと性が悪いのです。

もちろん、工業的な成功をおさめた者が
産業界の雄になることに異存はありませんが、
1、2位はともかくとして、
3位以下の競争に破れた企業の業績は
お世辞にも自慢になるものでありません。
従って株価だって
投資家の期待に沿うものであるわけがありません。

というわけで、
私はブームの後を追うよりも、
ブームが起ったら不足に悩む業種や業界に興味を持ちます。
たとえば私はレアメタルとかレアアースに
10年も前から注目してきました。
というのも私は
日立金属の以前のトップの人たちとつきあいがあり、
日立金属が生産しているカミソリの刃やモーターの原料に
レアアースが使われていることを教えられ、
その供給源をどうやって確保するかについて
あれこれ勉強させられたことがあったからです。

ですから「ハイハイQさん」で
とりあげることこそやりませんでしたが、
考察団を引率して中国稀土の工場見学に行ったこともありますし、
多少は株も持っておりました。
それが稀土の輸出禁止にまで止揚されると、
たちまち株価が3倍にも大暴騰しました。
お陰さまで思わぬプレゼントにあずかりましたが、
そうした株式選びの発想はどこから来たかというと、
産業界にブームが来たら、
どこがブームになるかということよりも、
どこで何が不足するかを
見定める必要があると常々考えているからです。
但しそれがいつ起るかわかりませんから、
ジッとガマンの子を続けるだけの辛抱強さが要求されます。


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2010年11月29日(月)

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