中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3917回
今、世界で不足に向っているのは銅と水

社会がいくら喜んでお金を払ってくれる商売でも、
供給が需要に追いつくと、
そのうちに必らず飽きられて商売にならなくなる時がきます。
ですからどんなブームでも
そのうちに必らず下火になってしまうのです。

ところが、世の中には
ブームにならなくとも不足する物があります。
たとえば、いま世界的に見て不足に向っているのは銅と水です。
一番目立って値上がりしているのは金の相場ですが、
それは金が不足しているからではなくて、
ペーパー・マネーに対する不信感が背景になっているからです。

もともと通貨は金貨とか銀貨でした。
物を買った時に代金として支払われるのは
金貨にきまっていました。
しかし、重い金貨を持ち歩くのは大へんでしたし、
強盗や泥棒にあって奪いとられる心配もありました。
そこで金貨や金塊は国が預って、
いつでもそれに換金のできる紙幣を
その代わりに通用させることから
紙幣が使用されるようになったのです。

ところが、紙幣が通貨として使用されるようになると、
それを奇貨としてどこの国でも
政府が紙幣を濫発するようになりました。
紙幣を金本位から離脱させたのはアメリカが最初ですが、
そうなるとどこの国でも政府が
金貨の代わりに紙に刷った通貨で
物をつませるようになったので、
紙幣の濫発が常識になってしまいました。

それがあまりにも目にあまるようになったので、
その反動として金が通貨の本命として
買われるようになりましたが、
金が通貨に返り咲く可能性は
将来と雖もほとんどありません。
現存する金では間に合わないほど
物の動きが大きくなってしまったからです。

その一方でどんなに金が値上がりしても、
金は入れ歯にさえ使われなくなりましたから、
金が消耗して不足する心配はありません。
不足するのは銅であって金ではないのです。
なぜなら銅は工業製品の原料として不可欠の物資なのに
新しい資源が今のところ全く見つかっていないからです。


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2010年11月30日(火)

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