中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3919回
農業は古くて新しい成長産業です

人間が生活して行く上で絶対必要なのに不足するものとして
私は水と銅をあげてきました。
実はそれ以上に絶対必要なもので、
しかも将来、不足することが間違いのないのは食糧です。

食糧は人間が生きて行く上で欠くことのできないものですが、
ありすぎると豊作貧乏になって逆につくっている人を苦しめます。
天変地異で不作になっても困りますが、
どっちに傾いても被害を受けるので、
農業で豊かになる人よりも
食うや食わずの人の方が多いのが人類の歴史です。

ですから工業社会になって
そのおかげで生活が豊かになった人たちから見ると、
農業に従事するのは時代遅れに見えますが、
それは食糧の供給が間に合っていることが大前提です。
工業化がすすむと、人口の半分を養う食糧が不足することは、
工業化した日本に続いて、台湾や韓国にも起っていることです。

今のスピードで中国の工業化がすすむと、
13億の半分をオーバーする7億人の食料が不足して
どこかから輸入しなければならなくなります。
既に大豆の輸出国だった中国が世界最大の輸入国に逆転しています。
日本の人口の半分の6、7千万人分の食糧なら、
地球上の他の国から供給してもらうことができますが、
7億人分はどこにもありません。

でも工業化すれば、買うお金はあります。
そのお金で世界中の食糧を買い漁れば、
中国人は何とか生き残れるかも知れませんが、
只でさえひもじい思いをしているアフリカの人たちは
どうなるのでしょうか。

そう考えると、中国は将来、
不足する食糧を自給する必要に迫られます。
それも不足してから手当するのでは間に合いませんから、
工業と平行して農業の開発が必要になります。
食糧生産は斜陽産業ではなくて、
この次の成長産業にランクされる産業の一つです。
恐らくバイオと並んで、情報産業や通信産業の後に続く
古くて新しい産業になるのではないでしょうか。


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2010年12月2日(木)

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