中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3925回
時代の流れを読むことが何より大切

川の流れるように、
お金の流れも時代によって大きく変わって行きます。
ですから時代を的確に読んで事業のやり方を変えて行かない限り、
一つの事業が淘汰を免れることはできません。
逆の側から見れば、次の時代を正しく読むか、
偶然にその位置におかれた事業は
流れに乗って大をなすことができます。

株の読み方も同じで、
将来、陽の当る位置におかれた企業はどこであるかを
正しくキャッチして、
まだ人があまり気づかない時に安値で投資することのできた人は
思わぬ恩恵に浴することができます。
私はずっと昔から
そういう視点に立って産業界の動きを見てきたので、
人より早くそういう変化をキャッチできたのではないでしょうか。

たとえば、流通業界の新しい選手たちが
アメリカのスーパーの勉強に行って帰って来て
東京の郊外や地方都市で、
30坪とか50坪の小さな安売り店をひらいて多くのお客を集めた時、
私はすぐこれらの企業が流通業界を一変させることに気づき、
まだ神戸の三宮駅前の一角で小さな主婦之店が
ダイエーを開店したばかりの中内功さんを
尋ねて行ったことがありました。
「将来、大事業になりますよ、それに店の名前もいいですね」
と私が褒めたら
「どうしてですか?」とききかえすから、
「ほら、駅の前におたくと同じ名前の映画館があるでしょう。
もうしばらくしたらテレビに滅ぼされて駄目になりますから、
そこで商売をやれば、店の名前もそのまま使えますよ」
と私は冗談口を叩きました。

「でも日本全国を席捲するためには、
東京からスタートしたないと駄目ですよ」
と中内さんにアドバイスして
有無言わさずに東京まで引張って行きました。
あちこち選択をした末に
東京は柿之木坂の店からスタートしたのはよかったのですが、
折角、日本一の一大チェーンを築いたのに
次の時代を読み切れなくなって
一世を風靡した大事業を棒にふってしまったのは
皆さんご存知の通りです。
でも一世を風靡して、まだ皆さんの脳裏に刻まれているのですから、
何もしなかった人よりいいんじゃないですか。


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2010年12月8日(水)

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