中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3938回
そろそろバブルのはじける心配を

上海でも北京でも、
車で通りを走っていて
一番目につくのは銀行の看板です。
行けども行けどもずっと続いているのは銀行の支店で、
もしかしたら、
銀行の支店の数はレストランの数より多いのではないでしょうか。

レストランなら、
出す料理にも、サービスの仕方にも色々と工夫がしてあって、
お客の得る満足感は店によって違いますが、
銀行の扱っている商品はどこも同じで、
預かる値段も同じなら貸す値段も似たり寄ったりで、
工夫の余地はどこにもありません。
それでちゃんと商売が成り立つのなら、
世の中、知恵も努力も必要でなくなります。

それでも銀行が商売として成り立つとすれば、
お金という名の商品が大へんな勢いで
ドンドンふえているからです。
物をつくって外国に売れば、
受けとった外貨は人民元に換わって代金として入ってきます。
現金はそのまま工場や個人の金庫にしまっておけませんから
銀行にもって行って預けます。
すると銀行の金庫は人民元で溢れますが、
それを貸し出さなければ、
銀行には収入がありません。
いくらでもドンドンお金がふえるのですから、
貸せるお金はいくらでもあるのです。

でもあるだけのお金を貸し出せば、
そのお金で不動産や株や欲しい物を
いくらでも買うことになりますから、
猛烈な資産インフレが起るし、
生活に必要な物の値段も大上がりに上がって
社会不安を惹き起します。
ですから政府が銀行のお金をきびしく規制します。
「貸すな」と言えば貸せないし、
「金利を上げろ」と言えば、
金利を上げなければならないのです。
こんな商売がどうして商売と言えるのでしょうか。

しかも日本ではバブルがはじけると、
一番ひどい目にあったのは銀行です。
銀行にお金は溢れるようにありますが、
あれは銀行のお金ではないのです。
そんな商売をやっている銀行の株を
どうして買う人があるのでしょうか。
私なら銀行の株より
自分の足元は大丈夫かと心配になります。


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2010年12月21日(火)

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