中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3941回
人手不足の対策が企業の優劣を左右する

ことしの中国の産業界で一番目立った出来事は
人手不足による賃上げの動きではないでしょうか。
日本でも経済の発展によって人手不足が起ると、
賃上げ斗争が起りましたが、
日本のやり方は組合によるストとか、
百姓が米俵を担いで議会を取り巻いてデモをやることでしたが、
中国ではストやデモの代わりにさっさと勤め先を辞めて、
他の会社に就職先を変えるやり方です。
人手不足の時ですからどこの会社も、
もっといい条件を出してきます。
職を変える度に収入がふえるのです。

ですから旧正月が近づくと、
どこの会社も社長さんの方が青くなります。
都会で下働きをしている連中は
旧正月の時に一年に一ぺん故郷に帰る習慣がありますが、
昨今のように人手不足で引く手あまたになると、
故郷へ帰った従業員が
休みをすぎても会社に戻って来なくなるのです。
深圳や珠海あたりになると、社員が1人も戻って来なくなって、
会社に残ったのは社長1人だったという笑い話もあります。

こうした賃上げ運動がはたしていいのか、
日本の方がましなんじゃないかという見方もあります。
賃上げのために従業員の多くが会社を辞めてしまうと、
会社に技術蓄積が残らず、
もう一度はじめからやりなおさなければならなくなるからです。
ですから、ストの方が
従業員の総入れ替えよりましだという考え方の方に
説得力があると言えます。

そういう意味では、日本の産業に1日の長がありますが、
中国もこのままでいいというわけではありません。
中国の産業界も他国のコピーをするだけでなく、
オリジナルの発想を要求されているところまで
追い上げられているので、
技術の温存と開発は世界的な競争に生き残るための
絶対的な条件になっています。
そういう条件を充たすことのできる企業と
そうでない企業に大きな差がつくので、
その色分けをする必要があるし、
またそういう色分けができなければ、
株式投資に大きな差がついてしまうことにもなります。


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2010年12月24日(金)

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