中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3942
お客に転嫁できない商品は扱うな

人手不足の次に中国で目立ってきたのが物価の上昇です。
わけても食料品の値上がりです。
ここのところ、続けさまに卵が値上がりしたり、
野菜が値上がりしたり、
ウドン粉が値上がりしたりということが起っています。

人手不足が恒常化して賃上げが日常化すれば、
ふえた収入の少くとも25%が食べ物に向います。
今後、賃上げが続く限り、
食料品に振り向けられるお金はふえる一方ですから
食料品の値段は上がると考えなければならないし、
ロシアが小麦の輸出を一方的に抑制するようなことが起れば、
爆発的な値上がりもあり得ないことではありません。

不動産や自動車の値上がりなら
政府が政策的に抑え込むことができますが、
野菜でも豚肉でも政府が値上げにストップをかけた途端に、
その日のうちに市場からそれらの商品が一せいに姿を消し、
ヤミが罷り通るようになります。
食品だけは政府にとってもままならぬ商品なのです。

ですから、政府が奨励するか、奨励しないまでも、
将来の不足を見越して
民間が優先的に力を入れるべき分野と考えて
よいのではないでしょうか。
ところが、現実は農民の農村離れは時代の傾向だし、
人手不足は今後も深刻化する一方なので、
食糧の増産は国をあげての最重要テーマになることは
目に見えています。

自動車やテレビなら買い控えることができますが、
食べ物は優先的な支払いの対象ですから、
仕入れ値段が値上がりすれば、
それを買い手に転嫁することができます。
現にパンやケーキの材料が値上がりすれば、
スーパーに卸す値段を
スーパーに承知してもらえるので、原料の値上がりが続いても
商売を続けて行くことができます。
それに対して
値上げした途端に売れなくなる商品を扱っているビジネスは
たちまちピンチにおち入ってしまいます。
中国でもこれから時間がたつにつれてこのひらきが大きくなるので、
経済の発展する社会なら大丈夫だと
タカをくくらないことが大切です。


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2010年12月25日(土)

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