中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3943回
中国でも物を半値で供給する努力を

この次、中国で起る最も際立った動きは
恐らく過剰流動性の激化による資産インフレと
賃上げがもたらす物価高でしょう。
資産インフレは政府が金利をあげたり、
融資に制限を加えたりすることによって
多少なりと抑え込むことができるでしょうが、
輸出の黒字によって人民元がふえ続けるのを止められない限り、
防ぎようのないことは目に見えています。

賃上げによる消費の増大がもたらす物価高に至っては、
真っ先に来るのは日用品、わけても、卵や油やメリケン粉、
さては豚肉や牛肉などの食料品に起りますから、
物価に口出しのできる当局もお手揚げになってしまいます。
値上げに禁止令を出せば、
その日のうちに商品が姿を消してしまうからです。

こういう時世は、
お金があっても節約を強いられることになりますが、
一番うける商売は値上げをしなくとも大量に供給のできる
ビジネス努力をすることです。
かつてのスーパーの安売りはその部類に属しますが、
石油の暴騰した時に
ガソリン代の節約できるエンジンづくりに生命を賭けた
日本の自動車メーカーの努力もこの部類に属します。
そう言った意味では、時代の動きに逆行することになりますが、
インフレのさなかで、
これからの中国で最も受け入れられるビジネスは
同じ物を同業者の半値で供給する
努力に徹することではないでしょうか。

今、上海や北京で猛進撃をしているサイゼリヤは
かつて幕張で1軒目の店を閉めるところまで追い込まれて、
どうせ閉めるなら
今までの半値でやって見たらと思い切ってやったところ、
たちまち大入り満員になったそうです。
ですから「安ければ絶対にハヤる」という堅い信念に生きて、
今日のサイゼリヤを築き、
更にそれを中国で再現して見せるべく努力したら
中国人の間でもウケにウケているのはご存知の通りです。
どちらかといえば、中国人がやったことを
日本人が受け入れているような話ですが、
それを逆にやっているのです。
真理は洋の東西を問わないと言ってよいのではないでしょうか。


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2010年12月26日(日)

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