中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3958回
金利の引上げでバブル対策はできません

いま中国は人民元の洪水が堰を切る寸前のところにいます。
その原因は輸出の黒字によって積み上げられた
2兆7千億ドルに見合う人民元が国内で放出されているからで、
その影響は全国に及ぶ不動産の値上がりと
物価上昇に及んでいますが、
ここまで来ても輸出に悪影響することを恐れて
人民元の切り下げに踏み切れないでいるからです。

もし人民元の切り上げができないなら、
積み上がった外貨を減らすために、
民間に海外投資と海外旅行を強制するような
思い切った政策をとるよりほかありませんが、
中途半端な対策では海を越えて
押し寄せるお金の津波を防ぎきれないので、
ある日、突然、
バブルの発生する可能性のあるところまで来てしまいました。

人民銀行のトップも金融畑のプロたちも
既に憂慮の顔つきを見せていますが、
さしあたりできることは銀行の民間への融資を制限することと
金利を引き上げて不動産の値上がりや
企業の新規投資に
ブレーキをかけるくらいのことしかできませんが、
そんな悠長な対策では人民元の大洪水を防ぐことはできません。
洪水の元を止めるのでなければ、
問題の解決にはならないのです。

プロならそのくらいのことはわかっている筈ですが、
そういう意見を述べても思い切った対策がとれないとすれば、
あとは金利の引き上げと預金準備率を引き上げて、
融資のストップを続けることになりますが、
そのくらいのことでは人民元の大洪水を防ぎきれませんから、
不動産が一段と値上がりすることと
食糧を牽引車にした物価高がすすむことになります。
そのスピードに加速が続いているところで
融資の全面禁止をやると、
かって日本で発生したようなバブルの崩壊の二の舞になることは
避けきれなくなります。
一番大切なことは金融の操作でバブルの発生を防ぎきれないことを
政策担当者が認識しているかどうかです。
政府にそれができなければ、
民間が避難の準備をする必要があります。


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2011年1月10日(月)

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