中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3963回
銀行株には過分の期待をしないことです

万一、中国でバブルがはじけたら
一番困るのはどんな業種だと思いますか。
私は一番困るのは銀行だと思っています。
いま街を歩くと一番目立つのは銀行ですが、
ズラリと並んだどこの銀行もお金という同じ商品を扱っていて、
お金を預かるのも、
人に借すのも似たり寄ったりで、
全く創意工夫の余地がありません。
そんなことをやっていても、
お金が儲かるのなら、
難しい商売などやめて皆で銀行をやればいいのです。

前にも述べましたが、
銀行は政府の運転する自動車で、
運転手が走れと言ってぺダルを踏むと走り出すし、
停まれと言ってブレーキを踏むと、
タンクの中が満タンでも停まる政府の乗り物が銀行なのです。
従って慣れたコースを毎日、走っている分には
大した事故はありませんが、
昨今のようにかつて走ったことのない崖っぷちを走ることになると、
一歩間違っただけで、
奈落の底におちこんでしまう危い目にあわされます。

それでも中国の人たちはあまり怖がりません。
乗っているのは自分一人じゃないから
万一の時は政府がどうにかしてくれるだろうと
タカをくくっているからです。
しかし、実際に日本で起ったような大暴落に遭遇したら、
銀行はお金が儲かるどころの騒ぎじゃありません。
現に昨今のように金利を上げたり、
命令一本で預金準備率を上げるようになると、
タンクが満タンでも、
経営者の思うようには走らせてもらえないのです。
というより経営陣を含めて、
政府の乗物の一部でしかないのです。

ですから、
いま中国の銀行にはお金があふれていますが、
それがもっとお金を儲けて株主におすそ分けをしてくれるなどと
期待しないことです。
中国の場合、銀行は上場企業であっても
実質的には国営事業ですから、
貸金が大半焦げついても
またお札を刷ることによって
ピンチを切り抜けて行けるでしょうが、
株主をうるおわしてくれるとあらぬ期待はしないことです。
どこの銀行もいまお金があまって
はちきれそうになっていますが、
株主になってもそれがあなたの財布までまわってくるとは
期待しないにこしたことはありません。


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2011年1月15日(土)

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