中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3964回
人民元の切り上げに切り変わる可能性も

経済学の理論に従って、利上げや預金準備率の引き上げをやれば、
物価にストップをかけたり、
資産インフレを止めることができると思うのは、
金本位制が通用していた時代に経済学の勉強をした人たちです。
昨今は輸出入が黒字になると、
外貨を担保にして
自国の紙幣を発行ができるシステムになっているので
その分だけ国内の通貨がふえることになります。
日本が猛烈な資産インフレに見舞われたのも、
円の切り上げが遅れて、国内で円の大洪水が起ったからです。

ちょうど同じようなことがいまの中国で起っています。
人民元の思い切った切り上げをやると
輸出にストップがかかって産業界に大きなダメージをあたえるので、
中国の政府はずっと躊躇して金融引き締めで代打してきましたが、
いよいよそれが効かないところまで追い詰められています。
一方で人民元の垂れ流しをやっているのに、
洪水の流入を防ぐ代わりに、堤防の上に砂袋を積み上げていたのでは
防ぎ切れるものではありません。

このままの状態がこれから先続いたら、
物価上昇のスピードはとまらなくなるし、
不動産の値段も株価も
値上がりにスピードがかかることは目に見えています。
それを止めるために思い切って、
人民元の切り上げをやることになれば、
資産の反落と輸出の停滞による不況が同時に中国全体を襲うことは
目に見えています。

ですから胡錦濤主席のアメリカ訪問をきっかけに
人民元の切り上げに方向転換をやれば、
経済界の受けるピンチは今後起るであろうピンチの中で
最少ですみますが、
更に先へ延ばせば延ばすほど、
中国大陸を襲う金融津波は大きくなります。
どちらにしても
大津波をかぶることは覚悟しなければなりませんので、
その時の準備を今からすすめる必要があります。
不動産への新規の投資は控えて、
株式投資はダウが下げても、業績が下がらないで
できればなお大成長を続ける銘柄に移し変えておくことです。
中国経済はこれで成長がとまるわけではありませんから。


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2011年1月16日(日)

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