中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3965回
輸出より大きな13億の市場があります

人民元切り上げにスピードがかかつて、
輸出産業がピンチにおちいっても、
それで中国経済が不況に襲われるわけではありません。
日本の場合は、
国内市場の開拓が先で、
国内で改良手直しした完成品を輸出して
評判をとるようになりましたが、
中国は海外資本を呼び込んで、
輸出を優先する「世界の工場」をつくり、
先ず海外市場の開拓からスタートしてから
国内市場に目を向けるようになったところです。

ちょうど物づくりのレベルが一定の水準まで達したところで、
人手不足になり、
値上げ競争がはじまりました。
人民元の切り上げによって輸出産業に蔭が射しても、
賃上げによる所得水準の向上する時期に来ていますので、
それが有効需要になって産業界を支える購買力になっています。
しかもそれがちょうど日本の高度成長期における賃上斗争と
同じ動きをするので、
輸出が減った分を補って余りある威力を
発揮することが考えられます。

そう言った意味では、
中国は輸出の減少によって後退するどころか、
13億もの人口を抱えているのですから、
対策を間違えなければ、
新規の巨大な市場の開拓ができます。
但し輸出に向けて開発した商品をそのまま反対方向に振り向ければ
事足りるわけではありません。

現に輸出産業でも、
この10年の世界市場の変化で、
人民元の切り上げがなくとも
廃業もしくは規模の縮小に追い込まれた企業が続出して
深圳や東莞の開発区でも空いた工場が目立っています。
反対に中国でコストインフレが起っても、
不況のアメリカやヨーロッパの市場では
安い日用品の方がよく売れるので、
一向に人気の衰えない
メイド・イン・チャイナもたくさんあります。

一口で言えば、
13億の新しい市場で、
どんな事業が受け入れられるのか、
企業家も投資家も、
これから用意ドーンの位置におかれているということです。
過去10年の常識では次の10年を占わないことが大切です。


←前回記事へ

2011年1月17日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ