中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3966回
バブルに備えて仕分けの準備を

日本ではデフレの心配をしているのに、
中国ではインフレの心配をしています。
それは成長期をすぎてどこの家も必要なものは大抵充たされて
消費意欲のなくなっているところへ
円高による輸出のピンチが重なって、
物が売れなくなっているのに対して、
中国ではいよいよ本格的な成長期に突入して、
人手不足による賃上げがはじまっている上に、
輸出黒字による人民元の大洪水が押し寄せているからです。

この大洪水をせきとめるためには、
人民元を思い切り切り上げて輸出を減らし、
逆に輸入をふやしてバランスをとる以外に方法がないのですが、
中国の政府は輸出業者をピンチにおとし入れることを怖れて、
金利を上げたり、預金準備率を引き上げることによって、
つまり金融操作によって調整しようとするので、
効果がないばかりでなく、
経済界全体が大洪水に見舞われる方向に向っているのです。

金利を上げれば、不動産の値上がりにブレーキをかけたり、
企業の新規投資を或る程度抑えることができますが、
物価の上昇を食い止めるだけの効果はありません。
いまの中国なら政府が命令一本で物価を抑え込むことができますが、
そうなると一瞬にして商品が姿を消してしまいますので、
もっと難しいことになってしまいます。

そういう環境に突入していますので、
不動産や自動車は抑え込みの対象になりますから、
業績が悪化して株価が反落することが考えられます。
それに対して食糧をはじめとする日常品は
ふえ続ける賃銀に支えられて成長を続けますから、
いま現に成長を続けている企業はさして
成長のスピードをおとさないですむと見てよいでしょう。
但し同じ日用品でもファッション性の高い贅沢品は
日本でもそうだったように、
半分に値下げをしなければ売れなくなりますから、
まともにその影響を受けます。
既にそうした動きがファッション産業の株価にも生じていますから、
そのへんの仕分けをする時期が近づいていると
考えていいんじゃないでしょうか。


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2011年1月18日(火)

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