中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3975回
中国に不向きなアメリカ式ショッピング・センター

日本のスーパーやショッピング・センターも、
もとを言えば、
日本の若い企業家の卵がアメリカに企業の勉強に行って、
帰って来てからそのコピーをしてスタートしたものです。
でも当時の日本はまだ貧乏だったし、
スケールの大きな店をつくる資力もなかったので、
結果として日本の実情に見合った小さな店からスタートしました。

主婦の店ダイエーが神戸の三宮駅前でオープンして
大へんな賑わいを見せているときいた私は
わざわざ神戸まで行って社長の中内功さんを尋ねたことがあります。
木造の小さな2階建の建物の一階が店で、
中内さん兄弟は
2階の小さな部屋に机を並べて采配をふるっていました。
それが見る間に大きくなって、1回行く度に店も大きくなり、
店の数もふえて、
あッという間に日本一のスケールまで成長したのです。
ですから日本のスーパーはスタートした時から
日本の国情に合ったスケールで出張を続け、
今日に至ったといっていいでしょう。

ショッピング・センターにしても、
アメリカのそれをそっくりコピーしたのはずっと後のことで、
スーパーに商店街を同居させた
アメリカのスーパーのコピーからスタートしていますし、
またそれが日本の国情にあって
全国的な展開になったと見ていいのではないでしょうか。

それに対して中国のショッピング・センターは、
建築ブームで思わぬ大金の転がりこんだ不動産屋が
節税とデモンストレーションを兼ねてつくったものなので、
中国人の生活のレベルを無視しており、
出来立ての頃は珍しがって人が集まってきますが、
店のつくりとおいてある商品の値札を見ただけで、
しまいには店に入るどころか、
ショーウィンドウの前を素通りして帰ってしまいます。

ですから超豪華高級ホテルと超一流ショッピング・センターは
高度成長時代の中国の矛盾した発展の記念建築物として
しばらくしたら、
成金たちの頭痛のタネになるのではないかと私は見ています。


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2011年1月27日(木)

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