中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3976回
テナント探がしが次の仕事になります

北京、上海にはじまって、
いま地方都市に雨後の筍のように次々と店びらきをしている
アメリカ式ショッピング・センターはあと2年もすれば、
採算に乗らなくなった店が店じまいをして、
新しいテナント探がしに明け暮れるようになるのではないかと
私は見ています。

その土地の人たちの財布の中身を無視して超豪華な建物をつくり、
入口にグッチとか、フェラガモとか、エルメスとか、
世界で有名なブランドの店を並べて、それで商売になるのなら、
世の中、何の苦労もないことになります。
現に全中国で一番先頭に立った上海の新天地から
歩いて5分のところに私の上海の家がありますが、
毎年、正月の何日間かは
上海の発展する様相を実感するために滞在しています。

ところが、ことしの正月は例年になく寒いせいもありますが、
人の出入りが少く、新天地のどの店も予約なしに
レストランの座席をとることができました。
ファッションの店はどこもクリスマスに続いて、
正月の半額バーゲンセールをやっていますが、
店が次々とクローズして「新装中」の看板がたくさん出ています。
先発した新天地が真先にテナントに逃げられていますから、
上海よりもっとずっと実入りの少い地方都市で
次に何が起るかは予想できないことではありません。

というのも、ショッピング・センターの中の店は
ファッション関係が大半で、1間の大きさが2、30坪もあり、
並べる商品だけでも大へんですが、
店員から家賃や維持費も加えるとかなりの出費になります。
それに対して店に並んでいる商品の10分の1にも
お客から声がかからないのですから、
原価の10倍で売れる商品なら別でしょうが、
黒字の経営のできる店は10軒に1軒もあるでしょうか。
しかも店員の訓練がままならない上に、
人手不足で他に就職口はいくらでもありますから、
すぐにやめられてしまいます。
店を維持するのが容易でない時代になっているのです。


←前回記事へ

2011年1月28日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ