中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4043回
国も年をとるようになるのでしょうか

私は30年も前から、
終身雇用制と年功序列給が崩壊することを予想して、
「途中下車でも生きられる」
(国鉄の切符には途中下車前途無効と書いてあります)とか、
「君の会社は大丈夫か」といった本を書きました。
いつまでも同じ会社にしがみついているな、
就職戦線から脱落しても、自分で工夫したり、努力すれば、
ちゃんと生きて行けるんだ、というほどの意味で書いた本です。

あの頃に比べれば、世の中も一変しましたが、
完全雇用に近い状態が常識だった日本でも
低成長時代に入ったために
失業者が続出するようになってしまいました。
とりわけ世界的な金融不安の波が日本まで押し寄せるようになると、
派遣社員を中途解約する企業が珍しくなくなり、
大量失業が社会問題化するようになってしまいました。

こういう時ですから、多くの就職希望者の中から
選ばれて一流会社に就職のできた人は
それだけでも有難いと思って然るべきなのに、
実際に就職して仕事に就いて見ると、
3年どころか、それこそ3ヵ月で退職する若者が
珍しくなくなりました。
きいて見ると、事、志と違って面白くないからだと言うのです。

「こんな仕事をやるくらいなら、
バイトをやるか、いっそのこと家にいた方がましだ」
と言う人もいるし、
実際に会社にとどまって仕事をやっている若者から
アンケートをとって見ると、
「海外勤務はご免」
「出世なんかしなくてもいいんだ」
と答える新入社員が少からずいると言います。
「一体、いつそんなことになったんだ」
と一時代前の先輩たちは驚き呆れていますが、
国際化がすすんで世界が一つになって行く過程で、
日本人だけが後ずさりをするようになってしまったのでしょうか。

もし本当にその通りだとしたら、国にも年齢があって、
もしかしたら日本の国は中年期さえ終わりに近づいて、
老齢化がいよいよはじまったのではないかと
恐怖心に駆られてしまいます。
それともそういう感じ方をする自分だけが
年をとったということでしょうか。


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2011年4月5日(火)

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