中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4044回
一握りの日本人にとってのチャンスですが

いまや国境の壁がなくなって
国がなくなる方向に世の中は動いています。
そういう時に国力が失われて行くのを
心配する方がおかしいという見方もできます。

一つの国の中で生きている
一人一人の人の集合体として日本の国を見るよりも、
国境のなくなって行く過程で、
一人一人の日本人がどういう生き方をして行くのかという
捉え方をすることもできます。
かつて薩摩や土佐や長州の一握りの人が
江戸から名を変えた東京に出て来て、
新しく事業を展開したり、政府の要人になったりしたように、
日本の若い人たちが、あるいは日本の企業が
中国や東南アジアやインドやブラジルに出て行って、
新天地をひらいて行くのが新しい時代だとすれば、
後に取り残された連中が若い者を含めて
生まれ故郷で細々と生涯を終えるとしても
異とするに足りないのではないでしょうか。

いつの時代だって、
新しい時代を築いて行くのは一握りの先覚者なのだから、
置き去りにされた人たちの心配をするのは政治家に任せて、
先覚者の中のリーダーが
次々とバトン・タッチをする相手を間違わなければ
それでいいのです。
そういう意味では明治維新に続く次のグローバル化維新が
日本に新しい時代をもたらすかどうかというところに
来てしまったのです。

世界的なスケールで物を見れば、
すべての日本人の出る幕でなくても別にかまわないのです。
たまたま私は中国と日本の間に生まれ、
日本人の果せる役割が次のグローバル化時代にあり得ると考えて、
少しばかりあせっているというだけのことです。
そういった意味では、今回の東北関東大震災を契機として、
日本人及び日本企業のアジア進出がはじまるところ――
と私は認識しているところです。

生産技術とサービス精神を備えた日本人が
いよいよアジアから世界中の新興国にかけて
その個性を生かすチャンスがやって来たのです。
日本人全体ではなくて、選ばれた一握りの日本人にとっての
またとないチャンスなのです。


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2011年4月6日(水)

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