中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4109回
プロの提案する贈与税はたったの千円

私が買った株の名義を子供の名前で登録して税務署に呼び出され、
名義変更をするか、贈与税を払うか迫られた時に、
私が贈与税を払ったのは、
個人で財産をつくるより
将来、家族の財産は家族会社で守って行く方が
税金が少くてすむと思ったからです。

その時の贈与税の免除額は確か年に40万円で、
40万円を越えて100万円に達した場合は
超過分の10%の課税額でした。
ですから「事業家、資産家のための節約の実際」
を執筆した頃は
「じゃ贈与税はいくら払えばいいのですか」ときかれたので、
「いくらにするかはご自分の懐具合にもよりますが、
一歩家から外へ出たら、
ちゃんと道も歩かせてもらっているのですから
少々奮発したらどうですか。
たとえば年に100万円の贈与にして
税務署に6万円支払って納税証明書をいただいたらどうでしょうか。
それをあきずに毎年くりかえすのです」。

きいていた人たちがどの程度に納得してくれたかは
私にもわかりません。
あれから何年かたって
免税点が40万円から60万円に引き上げられたことがあります。
その頃新しく出版された税理士の先生の書いた本を
本屋でひろげて見たら、
「贈与は毎年61万円にして、
1万円の10分の1の1000円を支払ったらいかがでしょうか」と
提案しているのを見て、思わず笑い出してしまったことがあります。

きっとこの人は私の書いた節税の本を
めくったことがあるに違いありません。
言われて見れば確かにその通りで、
税務署から逃げまわるより、
そうしておいた方が子供の名義になったお金が何に投資されたか、
いちいち証拠を残しておく必要がなくなります。
そればかりでなく私たちのように家族会社が増資をする時に、
子供のお金はどこから来たと詰問されずにすみます。

恐らくそういう具合に納得した上で、
1万円分の贈与の税金を提案したのでしょうが、
それにしても何とケチな金額を頭に浮かべたのでしょうか。
でもこんな所に私の提案が生きているのを発見して
私は思わず声を出して笑い出してしまいました。


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2011年6月10日(金)

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