中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4148回
バブルは地方都市からはじける

中国経済の発展も人手不足を加速する段階まで来たので、
今年の旧正月前後はこれまでに考えられないほど
賃上げ斗争が激化しました。
日本なら組合が中心になってストですが、
中国人は組合に頼るより退織して
もっと給料をたくさん払ってくれる職場に移ります。

この動きは今後、更に激化することが考えられますので、
これから10年、毎年のようにベース・アップはあっても
失業がふえることは考えられません。
とすれば毎年の賃上げが
住宅ローンの支払いを容易にすることが考えられます。
ところが、賃上げが起ると言っても広大な中国のなかで、
工業都市化が進んで賃上げの余裕のある地域と
工業化が遅れて賃上げどころか、
職を探がすのにも一苦労する地域があります。

それなのに地方政府はどこも他都市に遅れまじと
借金コンクリートの建設に血道をあげてきました。
たとえば合肥市のように3つも工業団地があって、
どの団地も人手不足で引っこ抜きの防止に血眼になっている都市は
ローンの支払い能力に事欠くことはないでしょうが、
鄭州市とか洛陽市とか、あるいはウルムチやトルファンでも
負けずに超高層マンションが林立しています。
なかには既に建ったマンション群に全く人気がないのに、
次々と新しいマンションに着工している所も珍しくありません。

こういう地方都市にこの次、何が起るかは
考えただけでも胸元が寒くなります。
地方政府はトップが変わればそれでいいかも知れませんが、
お金のあるところと借金だけで成り立っているところが併在すれば、
この矛盾はいつか必らず露呈します。
最近、重慶あたりで毛沢東を讃える動きが出ていることが
新聞でも報道されていますが、
経済の急速な発展による富の偏在が
新しい社会問題になりはじめたことを示す動きと見てよいでしょう。
バブルがはじければ、
また別の新しい動きがはじまる可能性がありますが、
私たちにとっては先ず
そのとばっちりを受けないことが第一でしょうね。


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2011年7月19日(火)

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