中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4160回
中国では立看板屋が広告業の代表

私が兜町に出入りするようになった今から50何年前、
日本の広告業を代表する電通も博報堂も
まだ上場していませんでした。
しかし、産業が発展して、物品の販売に広告が必要になると、
広告業は急速に成長して、電通も博報堂も大会社になったし、
成長期の日本で広告業が成長産業の代表であることは
誰でも承知するようになりました。

中国が成長経済に突入するようになると、
中国でも広告が重要な役割をはたすだろうことは
小学生にだってわかります。
ところが、証券業界を見ると、
広告会社はホンの2社か3社があるだけで、
スケールも小さいし、あまり人の眼にもつきません。
アメリカや日本の広告会社を見てきた人は誰だって、
中国でも同じことが起るんじゃないかと早合点してしまいます。
実は私もその一人です。

ですから二季報や四半期報などをひっくりかえして見ると、
広告会社が1、2社あるけれども、
いずれも路上の立て看板をリースする看板屋です。
そう言えば、飛行場に到着して、
北京でも上海でも市内に入ろうとすると、
看板ばかり目につきます。
しかし、新聞はまだ拡張中だし、
テレビに至っては全部が官営なので
広告はまだはじまったばかりです。

これなら広告業はこれからの成長産業だと早とちりするのは
私だけではなかった筈です。
ただ私は考えるとすぐ実行に移す癖がありますので、
立看板屋が中国の電通や博報堂になるのではないかと考えて、
立看板屋の中でも目立って積極的な動きをしていた
大賀伝媒の南京の本社まで訪ねて行きました。
私の応待に出て来た董事長の大賀さんはとても気さくな人で、
自分たちが立看板や印刷物をつくっている工場まで案内して
色々と説明してくれました。
私に同行した私の秘書たちは
日本の広告会社とあまりに勝手が違うので
私に異議を申し立てましたが、
私は広告業にも発展段階があるんじゃないかと考えて、
立看板屋が綜合広告業に成長するのではないかと
早とちりしてしまいました。


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2011年7月31日(日)

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