中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4162回
私の予想を裏切った消防事業

新しい事業に関心を持つ度に新しい失敗に見舞われます。
それでも懲りずにまたまた失敗をくりかえします。

中国の経済成長がはじまると、
見る見る不動産の値上がりがはじまりました。
北京や上海だけでなく、地方の有力都市でも
30階にも及ぶ高層建築が
雨後の筍のように林立をしはじめました。
それを見て私がすぐに反応したことは
火事になったら、消防車のポンプが高い所まで届かない、
政府はどうする積りなんだろうかということでした。

日本は地震のある国ですから、
建物が高くなったと言っても10階建て前後です。
それでも万一の場合に備えて、
それぞれの地方都市が消防の設備を整えています。
消防設備の知識づけもしています。
ですから、一頃、消防メーカーの株が人気を呼んだことがあります。

中国は土地はすべて政府の所有だし、
税金の取り方も日本の比ではありません。
ですから高層建築を許可すれば
国が率先して消防設備をするだろうと早合点しました。
福建省にあった中国消防という会社が本社を成都市に移して
大規模な消防自動車の工場を建設にかかったので、
私は噂をきいてすぐに見学に行きました。
私の想像をこえたスケールで、
つくった消防自動車の市場として、
北朝鮮とか印度とかアフリカも開拓し、
かなり利益率の高い仕事をしていると説明を受けて、
私はしたり顔で香港の経済雑誌で有力銘柄として取り上げました。
そうしたら1日で60%も値上がりし、
新聞の一面でそのことが報道されたこともあります。

しかし、工場の建設途中に、四川省で大地震が起ったので、
工事が遅れただけでなく、工場が完成しても、
労働者が思うように集まらず、
生産が大幅に遅れるという現象に見舞われました。
そのために業績が落ちただけでなく、
ピンチが何期も続いたので、成長株どころか、
うだつのあがらない企業の側に組み入れられてしまいました。
私はいらいらして成都に行く度に時間をつくって
工場に押しかけました。
が、私の力でどうにかなる状態ではありませんでした。


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2011年8月2日(火)

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