中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4167回
売った後に暴騰した株もあります

私が香港で上場している中国の製薬会社を調べて見ると、
既に何社かありましたが、
いずれも国営事業から衣替えをして横すべりしただけで、
業績の伸びもおもわしくなく、
心を打たれる銘柄はありませんでした。
それに比べると新進気鋭はまだスケールも小さいけれど、
「薬九層倍」と言われるだけあって、
数字を見ると意気込みも違います。

そこで先ず山東省にある山東羅欣という会社に目をつけ、
上海から飛行機に乗って現地までとび、
董事長さんに案内されて工場の見学をさせてもらいました。
一番気に入ったのは薬のセールスマンだったご本人が
自分の手金2万元からスタートして
何億元もの売り上げを上げるようになったことと、
もう1つは薬はセールスが勝負だからまだスケールが小さいのに
全国に販売網を拡げる努力をしていることでした。

当時はまだ株価が0.5ドルでしたが、
これなら間違いないと思って身分不相応に肩入れしたら、
何と10ドルを突破したことは
改めてここで自慢するほどのことではありません。
今日ここでとりあげているのは、
それに続く製薬銘柄の失敗談です。
私が山東羅欣に続いて取り上げた銘柄は
東瑞製薬と維奥生物科技と銘源医療の3社であります。

東瑞製薬の蘇州工場には考察団の皆さんを連れて
見学に行きましたが、
とても清潔で立派な工場でこれなら間違いないと思ったのですが、
その後の株価の動きを見ていると
梃子でも動かない状態が何ヶ月も続き、
さすがの私も辛抱しきれなくなって大半を処分してしまいました。
そうしたら、大暴落で他の株が値下がりしている時でも
逆に1セントも値下がりせず5年たって見ると、
何と私が取り上げた時の5倍にもなっています。

私が儲け損った銘柄の1つですが、
こんなことは滅多にないことなので、
大儲けをした株よりはずっと印象に強く残っています。
時々、その時、仕入れた人にお礼を言われますが、
私の方がしどろもどろして応対に困ってしまいます。


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2011年8月7日(日)

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