中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4168回
株の値打ちは売値で決まります

私は儲かった株のことよりも
損をした株のことをよく覚えています。
但し、いくら損をしたか正確に勘定して見たことはありません。
すんでしまったことはくよくよしても仕方がないし、
いくらで仕入れたか記憶しているよりも、
今、自分の持っている財産はいくらしているかの方が大切だし、
それが将来どうなるかは
もっと大切なことだと思っているからです。

ところで、株をやっている人は
大抵が収支の計算もきちんとしていて、
損をするといつまでもくよくよします。
たまたまそれが私の書いた物からヒントを得た結果だと、
それをいつまでも覚えています。
私は何億円も損したことが何回かありますが、
私に情報をくれた人を恨んだことはありません。
それが仮りに間違った情報だったとしても、
それを眞に受けた私に非があるからです。

株をやる人が仕入れた値段にこだわっても、
何の役にも立ちません。
将来いくらに売れるかがあなたの財産の価値であって、
実際に換金できる株価が
あなたの財産の本当の価値なのです。
その未来の株価を決定するのは、
私でもあなたでもなく、企業の経営をしている経営者たちです。
株を買ったばかりの時は
経営者がどんな人かは全くわかりませんが、
株主になってジッと株価の動きを睨んでいると、
おぼろ気ながらだんだんその能力や人柄がわかってきます。

同じ薬品株の銘柄を選んでも
私が間違っていなかった銘柄もありますが、
明らかに自分の間違いに気づいた銘柄もあります。
これは自分の誤まりだったなあと思って
きっぱりとさよならを決めた銘柄は銘源医療と維奥生物科技です。
一方は経営陣がしっかりしていなくて、
会社ごと第三者に買収されてしまいましたが、
もう一方は経営陣の中に会社の株の売買をやる役員がいて、
株主のさや抜きに熱心な会社だからです。
そういう確証を得た以上、
たとえどんなにお金の儲かるチャンスがあったとしても、
私はそのおつきあいをしない主義なんです。
下りるのにそんなに時間はかからないですみましたが。


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2011年8月8日(月)

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