中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4176回
いよいよ「太平洋は地中海」の時代に

今から18年ほど前に、
私は「THE21」誌に「太平洋は地中海」
という連載物を書いたことがあります。
一冊分書きあげて単行本になった時、
タイトルを変えて「アジアの勃興」と改題しましたが、
どうして「太平洋は地中海」というタイトルをつけたかというと、
かつて地中海をめぐって、展開された
エジプトやギリシャやカルタゴやローマの歴史が
これから太平洋をめぐって、
西と東の間に起るだろうと予想したからです。

かつてシーザーがエジプトに遠征したような歴史が
これからアメリカとアジアとの間に起ります。
一頃は日本がアジアのチャンピオンをつとめるかに見えましたが、
折角、ドルを大量に稼いだのに、
稼いだドルの運用を誤って
バブルがはじけて挫折してしまいました。
それに代わって中国がピンチ・ヒッターになって
アメリカを攻めていますが、
これで勝負がついたわけではありません。

昔は武器を持って相手の大将の首を狙いに行きましたが、
20世紀、21世紀は商品を売って
相手の富を奪うことで勝敗が決します。
それが勝者と敗者の分かれ目になりますが、
中国はこの10年でアメリカに商品を売って
外貨だけでも3兆ドルも稼ぎました。
その中の3分の1がアメリカの国債になっていますが、
ドルが目減りすると中国も大へんな損害を蒙りますので、
痛し痒しで、面と向ってアメリカを押し倒すこともできません。

それが世界的な株の全面安となって、
日本株も香港株も中国株も大下がりに下がっていますが、
勝者も敗者と将来にわたって同じ運命を辿るわけではありません。
日本はもとよりのこと、
中国にも課題は山積していますが、
中国はまだこれから本格的な成長が続く過程にあります。
ですから台風が一過すれば天気が回復して
畑はどこを耕やしたらよいか、
社会全体が元気を取り戻して元に戻ります。
そういう意味では株の大暴落はナンピンの絶好のチャンスです。
そんなことわかっているさ、問題は資金が続くかということだよ、
と言われるにきまっていますが。


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2011年8月16日(火)

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