中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4177回
通貨に対する長期の展望が必要です

かつて円が固定相場制を離脱して変動相場制に移り、
1ドル360円から200円台まで切り上げられた頃、
私は「やがて1ドル100円の時代が来るだろう」と予言して
プロの人たちから嗤われたことがあります。

円高になれば、それだけ輸出が困難になり
逆に輸入がふえて黒字幅が減りますが、
どこの国の政府もそうした動きにブレーキをかけます。
日本ではもともと輸入に対してはきびしい制約があって、
物に対しても、人に対しても、また企業に対しても
きびしいハードルを設けていたので、
一旦、外貨がふえはじめると、
それに見合うだけの円を発行しなければなりませんから、
たちまち過剰流動性に見舞われ、
資産インフレと物価高が発生しています。

すると、外国から円の切り上げを要求する声も高まるし、
インフレを抑え込まないわけにも行かなくなるので、
円高に動くことは防ぎきれなくなります。
そうした動きを考慮して私はきりのよい数字をとって
「1ドル100円」と言ったのですが、
実際にそこまで辿りつくのに9年もかかっています。
私たちに必要なことは
いつそこに辿りつくのかということではなくて、
どっちの方向に天下の情勢が向っているかということです。
なぜならば、そういう流れがわかれば、
投資の対象をどこに向けるか、
仕事はどこでやればいいのか、
またどんな国のどんな株に投資すればよいか、
しぜんに決まってくるからです。

私の場合は仕事も日本でやったし、貯めたお金も円で持ち、
またそれを利殖にまわす場合も日本の不動産や株に投資しました。
しかし、うちのかみさんの友人の多くは中国人だったし、
中国人の大半は日本の未来を
大して自信を持っていませんでしたので、
少々お金ができると、その度にドルに換えて
ドル貯金やドル資産に換えていました。
日本円で持っていたらちゃんとした財産になっていたのに、
円高に動く度に財産の目減りにあっています。
ドルで資産を持っていたら、
どういう目にあわされるかを
私は自分の周辺でも目の当りにしています。


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2011年8月17日(水)

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