中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4198回
日本企業は世界企業への道を一目散に

世界を不安がらせるアメリカのピンチは、
一口で言えば、
国も含めてアメリカ人のお金の使いすぎに起因しています。
それがわかっているなら、
政府が先頭に立って節約を奨励すればよさそうなものですが、
そういう体制で国が成り立っているのですから、
それができないのです。

このままの状態が続けば、年と共にドルは落目になりますし、
国力も下落する方向に向います。
考えて見ればそれは何もアメリカにだけ起ったことではなくて、
人類そのものの歴史が栄枯盛衰の歴史なのです。
ですから、かつて世界の中心が
ロンドンからニューヨークに移ったように、
あまり遠くない将来に、
ニューヨークから上海に移るだろうことは
視界のうちに入ってきたと見てよいでしょう。

ドルが値下がりすれば、
ドルを外貨準備で保有している国は大へんな被害を受けます。
今回のドルの値下がりで、
中国は3000億ドルの損失を蒙ったと中国の新聞に載っていますが、
それなら日本の損失は1000億ドルということになります。

しかし、中国はダーティ・フロートでドルに対応しているので、
為替レートに大した動きはありませんが、
円は新高値を更新することになってしまいました。
私はこんなことが続けば、
日本の代表的な輸出産業は大挙して海外に移転して、
日本国内には政府に養ってもらう人と政治家だけが残ると
20年前から言ってきましたが、
いよいよその時期が到来したと見てよいのではないでしょうか。

只でさえ弱体な政府が更に弱体化するのは
これまた日本国の宿命なのでしょうが、
政治家たちの対応を見ていると、
海外投資の奨励で円高の解消ができると考えているようです。
結局は無対策で次の時代を迎えることになりますから、
有力企業は率先して海外に移ることになり、
日本企業は世界企業へと先を争うことになるのではないでしょうか。
もしかしたら日本は時代の最先端を走っているのかも知れませんね。


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2011年9月7日(水)

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