中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4199回
アメリカ人はお金の使いすぎです

私の見方によると、アメリカ人はお金の使いすぎです。
コロンブスの新大陸発見以来、
先ずヨーロッパの食いっぱぐれが移民をし、
そこが住みやすいとわかったら、
世界中の人が大挙して次々と出稼ぎに行きました。

広大な土地に先住民のインディアンがいただけで、
耕せばいくらでも土地があったし、
不足していたのは土地ではなくて労働力だったので、
一番大切なものは労働力でした。
経済学の始祖と仰がれるアダム・スミスが「国富論」の中で
「金でワインが買えるのなら、
ワインをつくって金が手に入るじゃないか。
それなら富の源泉は労働力じゃないか」と述べたのも、
新大陸に一番たくさんの移民を送り込んだイギリスで
移民する人たちの動きを観察したからではないか――
と私は推察しています。

そういう環境に生きれば、
宵越しの金は使わない江戸っ子と同じように、
手に入った金は貯蓄に廻さないでもちゃんと生活ができて行けます。
それが何百年と歴史を重ねるうちに
いつしかアメリカ人の気質となったのではないでしょうか。

もちろん、産業が発展してビジネス・サイクルがあるようになれば、
アメリカだって好況不況に見舞われます。
しかし、豊かな国が見舞われるピンチは
物資の不足とは反対に過剰生産による豊作貧乏ですから、
餓死に襲われることではありません。

そうしたことのくりかえしを生きて来たアメリカ人にとって
ピンチを切り抜ける方法は唯一つ
払うお金を持つか持たないかということですから、
ドルが金を裏付けにしなくとも、紙に印刷してすむようになれば、
あとはブレーキをどうきかせるかということに
国全体が大きく左右されるようになります。

お金の使いすぎにかけるブレーキは
もはやアメリカでは効かなくなっているのです。
それがわかっていても
お金の使いすぎにストップをかける方法がないのです。
その影響を世界中が受けることになりますが、
あなたならどうなさいますか。


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2011年9月8日(木)

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