中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4204
アメリカと同工異曲の不動産ブーム

自分の住む家くらいは自分で持ちたいと誰でも思います。
自分の住む家が手に入ったら、
この次は人に貸して家賃のもらえる家も欲しくなります。
日本人もそうですが、
中国人のそうした欲望は日本人より一段と強く、
中国で財産と言えば、現金のことでもなければ、
家財道具のことでもなく、
持っている不動産のことだと皆が思っています。

ですからそういう人を相手に不動産を建てて販売すれば、
皆がとびつきます。
買うお金がないなら仕方がないけれど、
お金を貸してくれる人があれば、
少々無理をしてでもお金を借りてとびつき買いをします。
高度成長に入って輸出が順調に拡大されると、
金まわりもよくなって働く階級の収入もふえる方向に向います。
そこで不動産業の成り立つ環境が生まれ、
当事者にうまく取り入って政府から土地を手に入れた不動産業者に
新しい金儲けのチャンスが生まれました。

今まで何もなかったところにビルが建ちはじめ、
町が一新すれば、
その都市の行政を任された役人たちの功労になります。
ですから、あッという間に全国の地方都市でも
20階建、30階建の高層マンションが林立するようになり、
全国が私の言う「中国の香港化」を
実現することになってしまいました。

新しい建物は今までになかったものですから、
その都市の新しい財産です。
でも誰がこれらのマンションを買ってくれるのでしょうか。
皆が金持ちになるより
マンションの方が先に建ってしまったのです。
マンションが立ち腐れにならないための唯一の方法は
マンションを買うだけのお金のない人に
マンションを買うお金を貸してあげることです。
いま中国じゅうで起っていることは
マンションを買うだけのお金を持っていない人に
マンションを買わせることです。
3割は自己資金、あとの7割は長期分割払いです。
それが一説では14兆元に達するということです。
アメリカで起ったリーマン・ショックの同工異曲と思いませんか。
インフレで不動産が値上がりするのと、
不動産が大暴落して不良債権が発生するのと、
どちらでしょうかね。


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2011年9月13日(火)

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