中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4206回
紙本体制のツケが廻ってきました

アメリカ国債の格下げがきっかけになって
ニューヨーク株の大暴落がはじまり、
あれよあれよという間に世界中がその荒波に巻き込まれましたが、
株をやっている人たちの最大の関心事は
二番底があるかどうかということのようです。
簡単に言えば、リーマン・ショックのような大地震が
もう一ぺん来るかどうかということです。

もしあるとすれば、
今度はバンク・オブ・アメリカの破産じゃないか、
とまことしやかに大穴があきそうな
傷口まで例にあげたゴシップが耳に入ってきます。
もし二番底、三番底があれば
問題はリーマン・ショックの時より深刻で、
1929年の大恐慌の非ではありません。
100年に一ぺんの大恐慌と言っても、
昔と今では世界はうんと近い存在になったし、
情報伝達の手段も過去の非でないし、
お金の動くスピードもまるで違います。
ですからニューヨークが起ったことが
私たちの懐具合にまで大へんな勢いで響いてくるのです。

とりわけ「悪事千里」と言って
悪い噂はすぐに伝染して世界中に知れ渡ってしまいます。
いまは中東からアフリカで政権の交替が起っていますが、
私たちの懐にこたえるのは、
ユーロに加盟しているメンバー諸国の懐具合ではないでしょうか。
ギリシャに問題が起ったかと思えば、
次はポルトガル、いやいや、スペインだよ、
それよりやっぱりイタリアだよ、
と借金で首の廻らなくなった国々が次々と噂の対象になっています。

金本位制を離れて紙本体制に切り換えたのは
アメリカが真っ先ですが、紙幣と紙幣の交換比率を決めれば、
何とか首がつながるシステムができると
輪転機だけがフル操業して、自転車操業で
いつこけるかという国が続出するところまで来てしまったのです。
こうなると一鳥一石でうまく片づかないことは
誰の眼にも明らかですが、
いよいよ世界通貨のチャンピオンが
負け越しをくりかえすところまで来てしまったと
見てよいのではないでしょうか。
ドルの負け越しは天下公認の事実ですが、
交替するチャンピオンがいないじゃないかという
プロの意見がまだ罷り通っています。


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2011年9月15日(木)

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