中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4207回
私たちの乗っている小舟はまだまだ揺れます

世界経済のチャンピオンはお金の使いすぎで黒星続きですが、
もしかしたら次のチャンピオンになるかも知れない中国は
お金の貯めすぎで、こちらもひっこけそうになっています。

何とこの10年で中国は3兆2000億ドルも
外貨を貯め込んでしまったのです。
持ちつけないお金を持つと、
人間は平常心ではおられなくなるものですね。
外貨は輸出の黒字で積み上げたものですが、
輸出業者は人民元で支払をしなければなりませんから、
稼いだドルを人民元に換えます。
人民銀行は世界に通用するドルがありますから、
それを担保にして人民券を発行するのです。
そのスピードが目立たない時は景気がよいなあですみますが、
いまの中国のようなことが続くと、
人民元が市中に溢れて過剰流動性という大洪水を起します。

過剰流動性とはお金がありすぎて、
それが生産以外の投資や投機に向う動きであって
日本でも経験したことですが、
不動産とか株とか貴金属、骨董品、美術品が投機の対象になります。
なかでも一番目立つのは不動産で、
皆さんもごらんになっているように、
中国ではこの5、6年の間に、上海や北京だけでなく、
全国の地方都市で不動産ブームが起り、
空室のマンションが目立つようになりました。

日本の場合は億ションに銀行が融資をして大暴落に突入して、
お金を貸した銀行の方が次々にこけましたが、
中国の場合は地方政府が銀行に保証したり、
自分たちで融資システムをつくって融資をしているので、
不動産が大暴落をした場合、どういう対応をするのか、
今のところまだ想像がつきません。
しかし、お金の使いすぎでアメリカがこけるのと同じ矛盾が
お金の貯めすぎをした中国にも起る可能性は小さくありません。

ですから世界経済のチャンピオンは
そう簡単には太平洋を横断して中国には到着しそうにないのです。
私たちの乗った小船が台風の影響を受けて大揺れに揺れるのは
まだまだ続く覚悟が必要なんではないでしょうか。


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2011年9月16日(金)

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