中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4208回
証券市場は伝染しない時が来ます

お金を使いすぎて空になったアメリカという船と、
お金の貯めすぎで満載になった中国という船と、
太平洋を航海中どちらが大揺れに揺れるかというと、
それは鼠も逃げ出して空になった方に決まっています。

揺れている時はどちらに乗っていても真っ青ですが、
少し波が静まってくると、西の方から晴れてきます。
すると、西に向う船の方がヘドを吐かないですむようになります。
この半世紀、お金の中心地は何と言ってもアメリカでしたから
ニューヨークがゴホンとやっただけで世界中が風邪を引きました。
一頃は日本は肺炎になったという人もいました。

でもこの10年で、世界の積荷は少しずつ違う方向に動き、
日本でさえもアメリカを向いて出荷をしていたのが半分くらいは、
あるいはそれ以上をアジア向けに変えたので、
アメリカのゴホンくらいでは響かなくなりました。
金の動きに至っては、荷物以上に動きが早いので、
今もニューヨークがゴホンとやっただけで
世界中の証券市場が風邪になりますが、
風邪が慢性化して本体のニューヨークがなかなか恢復しないと、
若くて元気な他の証券市場の方が違った動きをするようになります。

あと何カ月かかるかは即断できませんが、
空船になったニューヨークで嵐の静まるのを待っているうちに、
太平洋の西側で波が静かになる日が来てしまいます。
あまり遠くない将来に世界の各証券市場で、
少しずつ違った相場の動きがはじまる――と私は見ています。
なぜならば、世界通貨としてのドルの役割は
なお当分続くとしても、お金の動きは今までと変わり、
株式市場もそれを反映した動きになるからです。
あと10年もたったら、
それが人々の常識になっているに違いありません。

ですから、中国株をやっている人は
世界的な株の大暴落に気をとられることはないのです。
つむじ風がアメリカから巻き起って来ても、
船からころげおちないように気構えしておればいいのです。
とびおりた方がえらい目にあわされるにきまっています。


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2011年9月17日(土)

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