中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4209回
逃げるよりしぶきのかかる覚悟を

何がきっかけになって世界的な株の大暴落がはじまるかは
時代によって違いますが、「寝耳に水」と言った
誰も予想のできない現象と言うことはありません。
東北大震災だって地球の構造についての研究が未熟だからであって、
もし将来、地盤の変化をキャッチする学問が発達したら、
かなり前にそれを予知できるようになるのではないでしょうか。

それに比べれば、株価を動かす大きな波は
人間がつくり出した景気・不景気がもたらすものですから、
「寝耳に水」ということは先ずありません。
リーマン・ショックだって突然起ったことではなくて、
アメリカのように付加価値を生むことを目指した
生産加工によって富をつくるのではなくて、
お金でお金を儲ける金融操作によって
お金を儲けることに夢中になれば、いつかは必らず起る虚業です。

現にドルを稼ぎすぎた日本でもバブルがはじけたし、
それをもっと徹底させたアメリカでも
必らずその二の舞いは起ると10何年も前に私は予言しました。
それがいつ起るかは私には断言できませんでしたが、
10年たってそれが起っても、
それは私にとって「寝耳に水」の社会現象ではありませんでした。
ですからリーマン・ショックに続いて、
第二のリーマン・ショックは近いぞと言われても、
「なあーに、大丈夫だよ」と言下に否定することはできません。
なぜならば、「労働力を使って生産に従事し、
新しい富をつくり出す」代わりに、
紙幣を印刷したり、債権債務のやりくりで
経済界の高波を乗り越えることのくりかえしをやれば、
そのツケはいつか必らずまわってくることを
知らない人は先ずいない世の中になってしまったからです。

そして、その大波はすぐそばまで押し寄せていると考えて、
はたして自分はどの程度の被害を受けるのか――
と予め準備をしておく必要のあるところにいま私たちはいるのです。
だからと言って株を叩き売って現金にしておけば大丈夫
ということではありません。
しぶきのかかる時は現金にだってかかってくるのですから。


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2011年9月18日(日)

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