中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4218回
お金はそんなにあてになりますか

私たちは物を売ったり買ったり、
またサラリーをもらったり払ったりするのは、
自分の生活している国のお金で計算するので、
自分たちの生活費はもとよりのこと、
株や不動産もその国の通貨で計算します。
多いとか、少いとか、儲かったとか、
損したとか言うのもすべてが通貨を物差しにしています。

でも物差しになっている通貨は1メートルとか、
1尺とか言うのと違って、
通貨そのものが伸び縮みしてあまりあてになりません。
1000年前の本を読んでも、500年前の本を読んでも、
米が高くなったとか、薪が高くなったとか、
庶民の嘆く光景がたくさん出てきますから
人類の歴史は長い目で見たら、
インフレの歴史と言っていいのではないでしょうか。
どこの国の支配者も支払う金に困ったら、
通貨の金の含有量を減らすのが常識でしたから、
金が通貨として通用した時代でも、物価は上がり続けています。

ましてや金本位制を脱却して
紙幣がその代わりをつとめるようになると、
どこの国でもお金に困った政府は、
あれこれ理由をつくってドンドン紙幣を印刷しますから
お金の値打ちは一定の期間が経つと、
必らず目減りする方向に動きます。
それが必らずしもそう思われないのは景気にサイクルがあって、
インフレのあとにデフレがあって、
お金の儲けにくい時があるからですが、
私たちの一生をふりかえって見ても、
10年前、20年前と今とでは、物価もまるで違うし、
不動産や株の値段だってまるで居所が違ってしまっています。

ですから通貨を基準にして、株が上がったとか下がったとか、
あるいは不動産をどう扱うべきかと考えるのは、
資産運営上、必らずしも正しいと言えないのではないでしょうか。
現に私だって自分の手元に残った事業や財産を見ても、
事業は次々とまるで違った物になっているし、
意外にも不動産だけが幾山河を乗りこえて手元に残っています。
そういう目で見ると株は財産として
どんな位置にあるか考えたことがありますか。


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2011年9月27日(火)

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