中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4235
世界の経済地図が大きく塗り替えられます

10年前に比べて中国が一番大きく変わったのは
何と言っても輸出また輸出で
3兆ドルを超える外貨を稼いだことです。
市場経済の開放がはじまった頃は、国に全く外貨がなく、
上場企業が外国から設備や原料を買いたくとも、
人民銀行がそれに応ずることができなかったので、
上場企業が自分たちで外貨を自辨できるように、
B株市場までつくったのは、今日から見ると夢のような話です。

それが世界中から外貨を受け入れて工業化に邁進したところ、
僅か20年あまりで何と3兆ドルもの外貨を稼ぐことができたのです。
この金は企業が稼いだものであり、
企業が人民元で支払いをするために
ドルを人民元に換えて人民銀行に積み上げられたものですから、
もとより政府のお金ではありません。

外貨準備が積み上げられれば積み上げられるほど
人民元が出廻りますから、過剰流動性が避けられなくなって、
国全体がインフレを起します。
だぶついた資金は不動産や株などの資産に向けられるのと、
物を買うのに向けられますので、
不動産の暴騰は避けられなくなるし、
食べ物や日用品の購入に使われるので、
日用品のインフレは避けられなくなります。

それを避けようとすれば、金利を上げたり、
不動産投資への条件をきびしくしたり、
食品の価格にストップをかけることになります。
いずれもその通りのことが起っているし、
それが株価にも反映されていますが、
人民元の切上げによって輸出を抑え込まない限り、
外貨準備は更にふえ続ける宿命にあります。

工業化によってふえた富とこの3兆ドルに及ぶ外貨が
どういう動きをするかによって
次の10年の中国の運命が大きく変わります。
手持ち外貨がそのままふえ続けて米国債を買い続けるより、
恐らく世界中の資源開発に投資されるのと、
先進国の優良企業のM&Aに使われることが考えられます。
その動きによって世界の経済地図が
大きく塗り替えられることになるのではないでしょうか。
とりわけお金には必らず人がついて行くので、
世界の人口構成も大きく塗りかえられることになるでしょう。


←前回記事へ

2011年10月14日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ