中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4236回
中国の賃金、そして、所得は上昇する方向

この20年間の間に中国の国民所得は大雑把に言って
ざっと10倍にふえました。
その中には外貨準備高の3兆ドルも、
物価の変動によるインフレ分も含まれていると考えて下さい。

私が20年前に中国で事業を起そうという気を起した時、
中国人の平均賃金は日本人の30分の1でした。
日本人を一人やとうお金で
中国人を30人やとうことができたのです。
では中国で仕事をしたら、
日本の30分の1のコストですむかというと、そういう設備もなく、
そういう設備の中で働く訓練もできていなかったので、
大袈裟な言い方をすれば、
日本人は一人で中国人30人分くらいの生産性があったのです。

しかし、今は違います。
恐らく給料は日本人の5分の1か、
あるいはもっと下かも知れませんが、人手不足になって機械化、
生産合理化が時代の要求になっているので、
大へんな勢いで省力化がすすんでいます。
私たちのパンの工場でも自動機械に変えると、
30人使っていたところが2人か、3人ですむ方向に動いています。
それでも人手不足が解決できるわけではありませんが、
次の10年は大へんなスピードで合理化がすすみ、
賃金が更に3倍、部署によっては、
もっと高い賃金が支払われることが考えられます。

ですから、バブルが発生して
株価に大きな影響をあたえる場面も多分、あるでしょうが、
それが起爆剤になって中国経済が下向線を辿ると
予想することには無理があります。
過剰流動性によるいびつな物価の調整は避けられないにしても、
生産性の向上による所得の上昇が続くので、
中国の経済がアメリカやヨーロッパの後を追って
下向線を辿ることは考えにくいのではないでしょうか。

中国の株式市場の動きがニューヨークやヨーロッパの後を
追い続けなくなるのではないかと私が見ているのも、
実は中国の今後10年の賃金の動向を追っていると、
どうしてもそういう結論になるからです。


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2011年10月15日(土)

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