中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4237回
3兆ドルが物を言う時は近い

この20年間に中国が稼いだ3兆ドルに及ぶ外貨は
中国政府の物ではありませんが、
中国政府の管理下にあります。
輸出がふえ続けると、外貨準備がふえますが、
それに見合う人民元が輸出業者に支払われますから、
国内が人民元の洪水になってしまいます。

それでは不動産も無理矢理押し上げられるし、
豚肉や野菜の値段も大暴騰して生活をおびやかしますから、
外国に行ってジャンジャンお金を使えということからはじまって、
海外資源の入手、さては優良外国企業の買収まで、
外貨減らしが政府の年中行事になってしまいます。
日本の場合は銀行を通じて大量に外貨を貸し出し、
日本の企業家たちはアメリカの不動産投資に熱をあげ、
あッという間に全財産を失うような目にあわされましたが、
中国人は5000万人に及ぶ華僑を抱え、
外国で働くことにも慣れているので、
新興国の資源に目をつけて、鉄鋼、アルミ、石油からはじまって、
銅からニッケル、さては、レアアース、レアメタルに至るまで、
買収と開発が既にはじまっています。

たとえば、アフリカにおけるヨーロッパ諸国は旧宗主国でもあり、
やったことと言えば、
奴隷の売買からはじまっていますから、
姿勢を変えようにも無理があります。
その点、中国は国家が援助の先頭に立って開発に協力し、
民間の電話施設からはじまって
日用品の市場に至るまで関与しているので、
新興国ブームのパイオニアを務めることができるのです。

恐らくそのうちにアメリカの国債を買っている資金も
世界の資源や先進国の有望企業にまわすことになって、
世界の経済地図が一変することもあり得るのではないか。
どちらにしても、中国の外貨準備が減るよりも、
もっとふえる方向にあるので、
人民元が切り上げられることはあっても、
中国の国際的な発言権が減ることは考えられません。
これも中国の株式市場が
ニューヨークに右へならえをしなくなる動きの
1つではないでしょうか。


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2011年10月16日(日)

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