中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4238回
国内需要が輸出の不振をカバーします

次の10年で中国は日本のように
老齢化と少子化で景気が後退して不況を呈する心配はありません。
バブルがはじけて一時的に不良債権が発生し、
産業界がピンチに見舞われる可能性はありますが、
輸出が後退して貿易黒字が減少することがあっても、
人手不足による賃上げで所得がふえるので、
国内所得が輸出の減少分をカバーして、
景気を支えると私は見ています。

日本の場合は経済の成長する過程で、
先ず賃上げがはじまり、
国内消費が有効需要として産業界を活気づけたので、
生産を拡大することができました。
家電製品やカメラやミシンはいずれも
欧米製品のコピーからはじまりましたから、
修理だけでも大へんな仕事で、
私が香港から東京に戻った頃は
商店街に修理サービスの店がズラリと並んでいました。

日本人には完璧主義の気風がありますから、
修理を重ねるうちに、
修理をしないですむ創意工夫がこらされるようになります。
そうでなければ、リオデジャネイロやヨハネスブルグにまで
サービス店をつくらなければならないですよね。
日本の場合は1億人余りの練兵市場でまず予行演習をして、
完璧に近い物づくりのレベルに達してから、
海外進出に乗り出したので、
メイド・イン・ジャパンの名声を
享受することができるようになったのです。

それに対して、中国人は海外の技術を資本ごと
まるまる迎え入れるだけの度量もあったので、
外国の技術レベルでいきなり製品の供給ができたので、
先ず輸出からスタートして
すぐにも外貨を稼ぐことができるようになりました。
外貨稼ぎが大へんなスピードで進行する過程で
人間の訓練が進み、気がついて見たら人手不足と
国内で物が売れるだけの所得の向上がはじまったのです。
従って日本と反対に、輸出が一段落する段階で、
国内消費が増大する新しい時代がはじまっています。
仮に世界的な不況や人民元の切り上げで
輸出の伸びが鈍ったとしても、
国内向け生産が
それをカバーできるレベルに辿りついているのです。


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2011年10月17日(月)

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