中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4244回
人民元の切上げはそんなに遠くない

日本ではバブルがはじけると、
天文学的数字の借金を抱えた企業、
主として不動産業者が先ず潰れましたが、
そういう業者に金を貸した銀行が債権の回収ができなくなって、
その後を追いました。

リーマン・ショックを見てもわかるように、
アメリカだって債権の回収がピンチにおちいると、
銀行や投資会社が破産に追い込まれてしまいます。
金融不安は産業界全体に起るというよりは、
お金の貸し借りをビジネスにしている業界で先ず起るのです。
ですから自分のビジネスは大丈夫と思っている人でも、
現金は銀行に預けていますから、
自分のお金を預けている銀行は大丈夫かと先ず心配になります。
預金のうち1000万円までは政府が保証しているから
大丈夫だと言う場合でも、個人の預金は別として
ビジネスで出し入れしているお金は
そんな小さな金額ではありませんから、
本当にそういうことが起ったら、笑ってなんかおられません。

その点、中国の場合は銀行のほとんどが国営ですから、
破産に瀕した場合、日本のように
破産するに任せるわけには行きません。
では銀行のミスを国が全面的に
尻ぬぐいをするのかということになると、
そんなことは想像の外にあるので、明確な答えはないのです。
そんなことが起った場合に備えるよりも、
そんなことは絶対に起してはならないというのが国の掟てです。
もちろん、私にもどんな手が打たれるか、予想はつきません。

只一つ、国営銀行を潰さないためには
国が全面的な支援をしなければならないということです。
それなら心配ないじゃないかと安心するのは早すぎます。
さしあたりできることは、と言えば、
過剰流動性がこれ以上進まないように、
人民元のふえる動きにストップをかけることです。
すると、あまり遠くない将来に
人民元の切り上げにスピードがつくということじゃないでしょうか。
中国政府が一番やりたがらないことですが…。


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2011年10月23日(日)

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