中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4290回
中国では家賃の裁判は受けつけません

中国でお店を借りて商売をはじめると、
ちゃんとお客をつかんで
お金が儲かるようになるまでが大へんですが、
必らずのように家主とトラブルを起します。
こちらの商売がいいと見ると、
あれこれ難癖をつけて家賃の値上げを要求するのはザラです。
レストランのような小規模の店だけでなく、
日本の有名百貨店やスーパーでさえ、途中で解約されたり、
裁判を起されたりする例が珍しくありません。

ましてや個人が賃貸借した店に至っては
ほとんど必らずえらい目にあわされます。
私もそんなことは知らなかったので、
店づくりも契約も担当者に任せたところ、
日本人だけでなく台湾人も
中国大陸の悪習慣には精通していなかったのです。

雲南省でコーヒーの栽培をやったばかりに
上海や北京や成都にコーヒー・ハウスをつくる必要に迫られ、
上海では私が旧天地と命名した田子坊という
昔の貧民窟の名残りのある路地裏に
10坪ほどの小さな店をつくったことがあります。
上海が近代的な大都市に成長したら
必らず観光名所になると確信して
家賃1万元(12万)で借りてさんざ苦労した末に
やっと月に2万元くらい利益のあがる店に仕上げました。

今は土・日、それに連休になると、
人が通れないくらいの新名所になっています。
そこで契約更新の期限が来ると、
政府から借りていた元の住民がいきなり
3万元の家賃を要求してきました。
路地裏の10坪で、しかもこちらが努力して
名所に仕上げたのですから、いくら話しても埒があかないので、
裁判をしようじゃないかと
上海で一、二の有名な弁護士事務所のトップに
相談を持ちかけました。

すると、家賃の紛争については裁判所が案件の受理をしないし、
仮に裁判をしても勝つ見込みは
全くないから裁判の費用が全く無駄になると
言われてしまいました。
これには私の方がもう一度びっくりしました。


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2011年12月8日(木)

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