中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4291回
市場に精通した人の手引きが必要

中国では賃貸借の期限が来て契約更新にあたって紛争が起っても、
裁判所が案件を受けつけないと弁護士事務所から言われて
とてもびっくりしてしまいました。
「どうしてですか」ときいたら、
家主の収入がふえれば税収もそれに応じてふえるし、
民間の紛争に口をさしはさむ必要はないと
政府の人が考えているからだそうです。

こちらの味方をする立場の弁護士が
上訴する前から投げるのですから、
これでは公平な第三者に判定してもらうこともできません。
そんなことを知らない日本人が
中国で店を借りて商売をはじめると、
必らず途中で店じまいをさせられるのは
そうした中国の商習慣のABCに精通していないからです。

もう1つ店をひらいていると、
監督官庁から役人がくりかえし検査に来ます。
レストラン業なら衛生局が来ますし、
消防局もきます。
少しでも違反があると、忽ち罰金が来ます。
うちであったことですが、
コーヒー・ハウスの冷蔵庫の中に
従業員が自分たちの食べる
インスタント・ラーメンを入れていただけで、
罰金の令書が来たことがあります。
たったそれだけのことでも、
役所と親しい人を通じて何がしかのお礼をしないと、
罰金を取り消してもらえないのです。

商売になると、
仕入れもあれば、お客のこともあるし、
集金がこれまた難儀ですから、
日本で商売をやるのとはわけが違います。
ですから私のところで働いている若い日本人の青年たちに
「値切りと袖の下に要領を得ないと中国で1人前になれないよ」
と私はからかい半分に言います。
どちらも難しいのですが、
それが家賃にまで及ぶと、
日本の一流百貨店もスーパーもコンビニも
皆一度はそうした目にあっているのですから、
はじめて中国にやって来て新しく商売をはじめる人は、
手を引いて指導してくれる先輩がどうしても必要です。
日本国内で店づくりをするような要領で、
商売のルールに精通しない
日本語のわかるガイドさんを頼りにしたりしたら
どんな目にあわされるか、頭に入れておいて下さい。


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2011年12月9日(金)

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