中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4297回
中国でも輸出産業に大きなかげり

ヨーロッパでは一番威勢のよいドイツの国債まで売れ残って、
いつもにこやかな女性の総統が色をなす光景が
テレビに映るようになりました。
ドイツ債の金利が一番低かったせいもあるでしょうが、
ユーロ所属の国家群で債務の問題が片づくどころか、
借金の返済ができなくなって、預金者から預ったお金で
ギリシャやイタリアの国債に投資した銀行や投資会社が
ピンチに追い込まれることは
いよいよ避けられないところまで来てしまいました。

ですから私は「お金でお金を儲ける」ビジネスの株は
避けて通った方がいいとずっと言ってきましたが、
それなら物づくりをして稼いでいるメーカーや
サービス業に従事している企業なら大丈夫かというと、
銀行や証券会社が甚大な被害を受ければ、
人々のふところに響きますから、
産業界全体が大なり小なり被害を蒙ることは避けられません。

東北の大地震で東京や大阪のデパートの売上げが激減したように、
ユーロ全体がピンチにおちいると、日本だって、
いや、それより中国の輸出産業の方が影響を受けます。
温州で企業の倒産が続出しているのも、
温州の企業がイタリアやスペインやフランスや
ドイツやイギリスのメーカーの下請けからはじまって
かなり密接な関係にあり、もうずっと前から
激甚な競争でお金が儲からなくなっていたのが
ここへ来ていよいよ注文の激減で
ニッチもサッチも行かなくなってしまったのです。

ですから同じメーカー業やサービス業でも
国内の消費が輸出の減少をカバーしてあまりあるなら
何とかして一命をとりとめますが、
そういう企業はそんなに多くないので、
産業界全体で選手交替は避けられなくなります。
従って輸出で商売が成り立っていた繊維や繊維加工業や
日用品の衰亡は想像以上で、
同じ産業界でも輸出か国内向けかで
きびしい選別が必要になります。
国内に名を知られたファッション・メーカーでも
意外に株価が冴えないのは
そうした重荷を担ぎ込んでいる場合が多いのです。
よくおしらべになって見て下さい。


←前回記事へ

2011年12月15日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ