中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4308回
食糧の増産は今や焦眉の急

工業化がすすむと、どこの国でも食糧不足に悩むようになります。
農業畑で働いていた人たちが
もっと収入の多い工場で働くようになるし、
国全体に豊かになった分だけ
食べることにもお金を使うようになって、
食糧の高級化と不足が避けられなくなります。

するとどこの国でも水不足と食糧不足が目立つようになります。
日本は水の豊富な国なので、食糧不足しか目立ちませんが、
食糧の70%を輸入に頼るということは
食糧を育てるための水を
外国に依存しているということにほかなりませんから、
食糧も自給自足ということになれば、日本だって
「水と治安は只」というわけには行かなくなります。
現に昨今は日本人もミネラル・ウォーターを飲む人がふえたし、
犯罪だって日増しにふえる方向にあります。

それに比べて後発の工業国である中国は水も不足なら、
やがて食糧不足にも追い詰められる立場にありますが、
人口が日本の10倍ということになると、
悩みも10倍ということになります。
水の不足はとり急ぎ水の供給をふやす工事と
最終的には海水の淡水化という手もありますが、
食糧については明日からでも増産と高級化の要求に
対応して行かなければなりません。

ところが、過剰流動性の発生で、
増産よりインフレが一足先に起っていますから、
食品の値上がりにブレーキをかけるために、
今のところ食品業者に対する取締まりが先行しています。
そのおかげで、野菜の栽培をしている超大現代農業、
中国緑色食品、亨泰などの上場企業から、
さては食肉の加工でトップを占める雨潤食品に至るまで
いずれもきびしい監督と監視の対象になっており、
どこの会社も業績も悪化して
株価も一般産業並みに大暴落の仲間入りをしています。

しかし、もともと供給が需要の増大に追いつかない業界ですから、
奨励する代わりに監督をきびしくすれば
どういうことになるかは目に見えています。
今のままでいいわけがありません。


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2011年12月26日(月)

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